2008年4月25日金曜日

asahi international art literature Russia Leo Tolstoy descendant painting koten

トルストイの子孫の画家、初来日し個展 民話の挿絵など

2008年04月25日10時19分

 ロシアの文豪レフ・N・トルストイ(1828〜1910)の生誕180年記念行事を進める在日ロシア大使館の招きで、子孫の画家ナターリヤ・トルスタヤさんが初来日し、東京・銀座の画廊で個展を開いている。28日まで。

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ナターリヤ・トルスタヤさん(左)とふみ子・デイヴィスさん。後ろは「落穂の天使」「お伽の国—日本」に使われた作品の原画=東京・麻布台のロシア大使館

 北九州市出身でシンガポール在住の陶磁器絵付け作家、ふみ子・デイヴィスさんが、古くからの知り合いの駐日ロシア大使夫妻とトルスタヤさんの橋渡し役となった。デイヴィスさんはトルスタヤさんとの親交を基に、トルストイ関連の著作や翻訳を手がけている。

 トルスタヤさんは、トルストイの次男の孫である画家の長女で、54年生まれ。シンプルな形と色で表現する作風だ。「日本の浮世絵など古い芸術作品に、新しいものを感じる」という。

 デイヴィスさんは75年にモスクワの大学を卒業後、米国の商社員と結婚。99〜02年のモスクワ再滞在時にトルスタヤさんと出会い、トルストイの死の直前の家出の謎を調べて「トルストイ家の箱舟」(群像社刊)を07年に出版した。

 さらに同年6月、トルストイの末娘の回想録「お伽(とぎ)の国—日本」(同)を、今年に入っては代表的民話の「落穂(おちぼ)の天使 人はなんで生きる か」(未知谷刊)を翻訳、出版。トルスタヤさんが両書の表紙絵や挿絵を手がけた。個展にはその原画と近作の計54点を出品する。

 作品の題は「窓」「教会」「聖杯」など。ほのぼのとした造形表現をするトルスタヤさんは「私は攻撃的な表現を好みません。日本の人たちが私の作品を見て、穏やかな気持ちになり、和んで下さったらうれしい」と話した。

 デイヴィスさんは「本質を簡略な線で表し、抽象に近い彼女の作品は、具象の時代に『戦争と平和』などを書いたトルストイが、芸術論で、情感や感性を表す芸術として予想した美の形式を思わせる。トルストイ・ファンには、ぜひ見てほしい」と話す。

 個展は東京都中央区銀座5丁目、アトリエスズキ(03・3571・4877)で開かれている。




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