2008年10月31日金曜日

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「ノーベル賞候補」戸塚さん死去前のブログ、本に

2008年10月30日17時43分

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 ノーベル賞に最も近い日本人物理学者といわれながら今年7月、直腸がんのため、66歳で亡くなった戸塚洋二・東京大特別栄誉教授が闘病中につづったブロ グ記事が本になった。テーマは「科学の面白さ」。戸塚さんの死後、妻の裕子さん(64)が自宅のパソコンから見つけた未発表のブログ用原稿3本も収録し た。

 戸塚さんは02年にノーベル物理学賞を受けた小柴昌俊・東京大特別栄誉教授(82)のまな弟子。岐阜県・神岡鉱山の地下千メートルにある巨大観測装置「スーパーカミオカンデ」を使って、ナゾの素粒子ニュートリノに質量があることを見つけ、98年に発表した。

 その2年後の00年にがんが見つかって手術を受け、抗がん剤治療を続けた。06年に高エネルギー加速器研究機構長をやめ、親類や知人に近況報告するため、07年8月にブログを開設した。

 「勉強することがたくさんあって楽しい。それにしても時間がほしいよ」と話しながら、体調の良いときに書きためた約240本の記事をブログに発表した。

 このうち相対性理論から身近な植物の話題まで、科学がテーマの28本を収録した。亡くなる約2週間前の自宅での最後のインタビューも載っている。 出版をもちかけたフリー編集者の緑慎也さん(32)は「長生きをして、若者向けの科学の解説をもっと書き続けてほしかった」と話す。

 本は「戸塚教授の『科学入門』」(講談社刊、四六判239ページ、税別1400円)。30日刊行で、同日夕にはまず東京都内の大型書店などに並ぶ 予定だ。裕子さんは「本人も生前、ブログを何らかの形で活字にしたいと言っていた。宿題を果たせて、いまはほっとしています」と話した。(山本智之)



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