2008年10月30日木曜日

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勝海舟が愛読?源氏物語「梅枝」の最古級写本

2008年10月29日23時54分

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写真勝安芳(勝海舟)の印が押された源氏物語の写本。鎌倉時代中期のものとみられる=29日午後、神戸市東灘区の甲南女子大、西畑志朗撮影

発表された鎌倉時代中期のものとみられる源氏物語の写本。現存のものにはみられない「いたうなすかし給そ」という記述がある=29日午後、神戸市東灘区の甲南女子大、西畑志朗撮影

 甲南女子大(神戸市東灘区)は29日、源氏物語54帖(じょう)(冊)の一つで学内の書庫にあった「梅枝(うめがえ)」の写本が、鎌倉時代中期(13世 紀)のものと判明したと発表した。現存する「梅枝」では東京国立博物館所蔵のものと並び最古級という。幕末・明治期に活躍した勝海舟の蔵書だったことを示 す押印があり、同大学の米田明美教授(日本文学)は「軍事専門家だった海舟が恋愛物語を読んでいたと考えると興味深い」と話す。

 写本は同大学が73年に京都の古書店で購入。縦横約15センチで、表紙の他に37枚の紙がつづられ、このうち33枚に筆で物語が書かれている。田 中登・関西大教授(日本文学)が書体や紙質、装丁法から製作時期を鑑定した。藤原定家らがまとめた写本とは異なる系統の「別本」という。

 表紙の次にとじられた白紙(遊び紙)の裏には、海舟が明治維新後に使った「勝安芳(やすよし)」の名の押印があった。国立国会図書館が所有する海舟の蔵書約340点の一部と目視で比較したところ、同じ印影だったという。

 11月4〜7日、10日の正午〜午後4時10分、甲南女子大の図書館(078・413・3097)で一般公開される。(渡辺芳枝、佐藤卓史)

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 〈源氏物語〉 紫式部が創作した平安貴族の恋愛物語。紫式部日記の内容から、1008年11月までに書かれたとされる。原本は残っておらず、これ までに見つかった写本では鎌倉初期の4冊が最も古い。鎌倉時代前期に藤原定家がまとめた「青表紙本」、同時期に源光行らがまとめた「河内本」の2系統と、 それ以外の様々な「別本」に分類される。



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