2008年10月8日水曜日

asahi science book re-publish Nobel Prize shohyo

3氏の著書、増刷へ 小林氏の本は「絶版」から復活

2008年10月8日11時31分

印刷

ソーシャルブックマーク このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

写真急きょ重版が決まった小林誠さんの「消えた反物質」(左)、益川敏英さんの「現代の物質観とアインシュタインの夢」(右)。いまだに人気の南部陽一郎さんの「クォーク」(中央)

 ノーベル物理学賞を受けた小林誠さんの著書が、再び書店に並ぶことになった。事実上、絶版状態だったが、出版元の講談社が増刷を決定。益川敏英さんと南部陽一郎さんの著書も増刷が決まった。

 小林さんの著書は、97年に同社の一般向け科学新書「ブルーバックス」から出版された「消えた反物質」。編集を担当した堀越俊一さん(46)によると、小林さんは「一般書の執筆は初めての経験」と話していたという。

 「CP対称性の破れ」を扱った難解な内容にもかかわらず2万部を売り上げた。しかし、その後は「重版未定」で、事実上、絶版状態にあった。

 だが、ノーベル賞受賞で状況は一変。現在、ブルーバックス出版部長となった堀越さんは「この本を再び世に問えるまたとない機会」として、1万部の増刷を決めた。講談社には、8日朝から「ノーベル賞フェアをやりたい」という書店からの問い合わせが30件近く殺到している。

 同じブルーバックスには、南部さんの著書「クォーク」もある。講談社の編集者だった柳田和哉さん(61)は78年「子どもの頃から興味のあった素粒子の 話をぜひ書いてもらいたい」と、国際会議で来日していた南部さんに直訴。事前の約束はなかったが、南部さんはその場で快諾し、81年に出版にこぎつけた。

 トップクォークの発見が報じられた90年代半ば、柳田さんが「役者がそろい、改訂のタイミングですね」と手紙を送ると、南部さんは即座にリライトし、98年に改訂版が出た。

 「クォーク」は27年間で計11万部以上売れ、科学書の隠れたベストセラーになっている。今回の受賞で、さらに2万部が増刷されるという。2冊とも「金の帯」をつけて配本される予定。

 また、岩波書店と丸善から出版されている益川さんの素粒子論の入門書も増刷が決まった。



0 件のコメント: