絶縁体+プラスチック=超伝導現象 東北大が新手法
電子材料としてありふれた絶縁体にプラスチックを張りつけると、超伝導現象が起きた——。川崎雅司東北大教授(薄膜電子材料)のグループが、こんな手法 を開発した。超伝導材料探しはやや行き詰まり感があるが、今回の研究が新しい潮流になる可能性がでてきた。英科学誌ネイチャー・マテリアルズ(電子版)で 13日発表した。
川崎さんらは、パソコンや携帯電話の回路で使われる絶縁体の「チタン酸ストロンチウム」に注目。高純度にした材料に電極をつけてトランジスタに似た構造をつくり、プラスチックの層をつけた。このプラスチックはハイブリッド車などの電源で使われ、電気を蓄える性質をもつ。
こうした構造に高い電圧をかけながら温度を下げた。すると、電気をまったく通さない絶縁体なのに電気が流れ始め、絶対零度に近い零下272.85度という極低温で電気抵抗がなくなった。電圧をかける「電界効果」という手法で、超伝導現象を操作したのは世界初だという。
実は「電界効果で制御する素子も超伝導になるはずだ」という予言が、約50年前に出ている。だが、素子ができたとしても電圧によって壊れてしまっていた。高電圧に耐えるプラスチックの登場で実現したという。
超伝導材料探しは、候補の材料にいろいろな元素を混ぜて電気の流れやすさを上げてきた。だが、うまく混ざらないものは実験できず、行き詰まり感が出ていた。今回の手法は、無理に混ぜる必要がなく、実験対象が大幅に広がる。(斎藤義浩)
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