2009年11月4日水曜日

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飲酒もたばこもご法度…中東で禁煙ブーム

イスタンブールの水たばこカフェで紫煙をくゆらす客たち。左奥は「屋内」にあたり、喫煙できない

 喫煙に寛容だった中東で、屋内の公共スペースを禁煙にする動きが広がっている。

 トルコやヨルダンなどが「禁煙法」を施行し、イラク、シリアでも法制化が進む。背景には健康意識の高まりがあるようだが、飲酒はご法度のイスラム教徒が大多数の中東では、たばこが楽しみという人も多く、反発も出ている。

 トルコの最大都市イスタンブール中心街に並ぶ約20軒の水たばこカフェ。愛煙家が紅茶などを味わいながら、上部の器で燃やしたたばこの煙を下部のガラス瓶にためた水にくぐらせ、ホースなどで吸っている。イスラム圏ならではの光景だ。

 だが、客がいるのは外側だけで、店内は閑散としている。飲食店などの屋内の公共スペースを禁煙とする法律が、7月に施行されたためだ。違反者には 69トルコ・リラ(約4140円)の罰金が科せられる。経営者のカミル・チュルナイさん(48)は、「冬でも客は来てくれるだろうか」と不安げだった。

 中東ではヨルダンも3月から6月にかけて、スーパーやファストフード店などを全面禁煙にした。バーレーンでも、ショッピングモールなど屋内の公共 スペースを禁煙とする法律が4月に施行された。イラクは官公庁や空港などの公共の場を禁煙とする法案を閣議決定し、今後、国民議会で審議が始まる。シリア も半年以内に公共スペースが禁煙になる予定だ。

 こうした動きについて、トルコでは保健省が8月に行った調査で、回答者の82%が禁煙化に賛成した。イスタンブールの主婦、アイスン・アチュクさ ん(39)は「子供の健康のためにも良いこと」と歓迎する。同国の禁煙推進団体で活動するジャン・デミライさんは、「たばこの健康被害は明らか。禁煙の広 がりは、それを気にする人が中東でも増えてきた証拠」と評価した。

 だが、反発の動きも出ている。トルコ西部マニサでは法施行直後の7月下旬、飲食店の客が別の客に喫煙を注意して射殺された。イスタンブールやアンカラでは、客が急減したとして、法律撤廃を求めるバー店主らのデモも起きている。

 イラクでも反対の声が目立つ。バグダッドの公務員(36)は「たばこは水みたいなもの。規制すべきではない」と憤り、貿易省の職員(32)は「政府は、禁煙推進よりも治安や生活改善に力を入れるべきだ」と皮肉を込めた。(イスタンブールで 田尾茂樹、写真も)

(2009年11月3日20時56分  読売新聞)



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