2009年11月4日水曜日

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平等院鳳凰堂の阿弥陀如来坐像、ベンガラで内側彩色

阿弥陀如来坐像(平等院提供)
ベンガラで赤く彩色された阿弥陀如来坐像首付近の内部(平等院提供)

 平等院鳳凰堂(京都府宇治市)の本尊・阿弥陀如来坐(ざ)像(国宝、高さ約2・8メートル)の内側の全面が酸化鉄を主成分とする赤色顔料のベンガラで彩色されていたことが平等院などの調査でわかった。仏像の内側にベンガラが塗られた例は珍しいという。

 阿弥陀如来坐像は、平安時代中期の1053年に、仏師・定朝(じょうちょう)が制作したヒノキの寄せ木造り。2004〜07年に修理した際、内側が真っ赤に塗られていたことが確認され、東京文化財研究所が木材に付着する成分を蛍光エックス線で分析し、ベンガラと判明した。

 赤は太陽や火と結びつき、魔よけになるとされる。平安初期の京都・東寺の大威徳(だいいとく)明王像(国宝)の内側も赤く彩色されているが、鉛を主成分とする鉛丹(えんたん)が使われている。

 ベンガラは鉛丹よりも濃い赤色で、平等院の神居文彰住職(47)は「邪悪なものを避けるために、より深い赤のベンガラを採用したのではないか」と話している。

 奥健夫・文化庁主任文化財調査官の話「仏像の内側の成分が科学的に分析されるのは珍しい。定朝が顔料の微妙な発色の違いを熟知していたことがわかり、平安中期の仏像の成熟がうかがえる」

(2009年11月4日03時28分  読売新聞)



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