2009年11月7日土曜日

mainichi shasetsu 20091107

社説:国会改革 熟議して修正する場に

 初めての本格的な政権交代が現実となった今、国会も政権交代時代に適応した姿に変わっていくのは当然だ。そんな中、学識経験者らで作る「新しい日 本をつくる国民会議」(21世紀臨調)の小委員会が国会審議の活性化を目指す提言をまとめた。議論のたたき台として評価できる内容だ。与野党は早急に改革 論議を始めてもらいたい。

 野党はひたすら政府法案の廃案を目指し、与党は原案のまま成立させようとする。結果、国会は質疑の中身より、いつ採決するかの日程をめぐる攻防ばかりが横行する。従来の国会はこうした状況が続いてきた。

 元凶の一つは国会が通常国会、臨時国会と細切れで会期が設定され、しかも会期中に衆参両院で議決されなかった法案は一定の手続きを取らないと廃案 となる「会期不継続の原則」が続いてきたことだ。野党はこれを盾に「会期切れ・廃案」を狙い、与党は修正など念頭にないという姿勢を続けてきたといってい い。

 今回の提言では、これを改めるため、150日間と定めている通常国会の会期を300日以上とするなど実質的に年中、国会を開いて議論する「通年国会」の実現を求めた。

 また、民主党内にある「政府・与党は一元化されたのだから国会での与党質問は不要」との意見に対し、提言は「極論」と指摘し、与党も国民代表とし て審議に加わるのは当然と結論づけた。そして例外的とはしながらも、国会審議の結果、野党の提案に合理性があると判断した場合などは法案の修正はあってし かるべきだと指摘した。いずれも私たちが既に主張してきたところであり、妥当な提案である。

 焦点の官僚の答弁を禁止すべきかどうかに関しては、委員会を政治家同士の討論を原則とする「議案審査会」と、官僚に行政の実情をただす「国政調 査・行政監視会」に分ける案を示した。隠されがちな行政情報を明らかにするのは国政調査権を持つ国会の重要な使命だ。官僚答弁の一律禁止には私たちも反対 であり、今後検討すべき一案だろう。

 このほか党議拘束の見直しや議員立法の提出条件緩和など提言は多岐に及ぶ。いずれにしても目指すべきは議論を尽くす、つまり熟議して、法案をよりよいものに修正する、あるいは立案する国会である。

 今回の提言は小沢一郎・民主党幹事長の要請に応えたものだ。このため自民党には反発もあるようだが、小沢氏の考えと一致していない提案も含まれて いる。小沢氏も与党・民主党に都合のよい改革ばかりを考えているのではなかろう。政党は与党にも野党にもなる。それを前提とした協議を進めてほしい。

毎日新聞 2009年11月7日 2時30分



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