—五人の乱戦を五割近い得票で制した。一方で投票率は49・36%と低迷した。政治学者から転身を図った選挙戦を振り返ってください。
「有権者にとって五人の比較が難しく、その煩わしさを敬遠した面もあったのではないか。悪天候も含めれば、投票率は予想の範囲だ」
「無党派層や民主党の支持層からも多くの支持が得られたことからも、『熊本県を最も変えられる人は誰か』という観点で私を選んでもらえた。人柄 や経歴を見て、他の候補より期待が寄せられたのだと思う。政治学者としては、選挙で候補者が有権者から情報を得る機会は少ないと理論化していたが、それは 違った。遊説中に手を振って駆け寄ってくる農家の人の姿を見て、政治に寄せる期待度の高さを痛感した」
—自民党を中心に幅広い政治勢力や市民グループが集結した。さまざまな要求に対して、どう県政運営しますか。
「支援を受けたさまざまな勢力は私のマニフェストに合意しており、それが県政運営の基本となる。県民との約束だ。こだわって盛り込んだ『口利き の文書化』も、自民党の支援が離れてしまうとの危ぐもあったが、そんなことはなかった。県政の現状を変えていくには県民総力戦で臨むしかない。自民党の言 いなりになるとの見方をすれば、今回のような大量得票はあり得ず、有権者は私の政治姿勢を理解してくれた」
—最初の課題として県財政の再建を掲げている。職員の給与カットにも踏み込みますか。
「まずは知事自身の報酬の月額百万円カットを実行に移す。スタンドプレーとの批判もあるが、県財政を再建したいと思う職員のインセンティブ(誘 因)になる。財政再建戦略を組み立てるのが先決だが、その中で財源不足が生じることになれば職員の給与カットもある。私一人の判断ではなく、職員側との話 し合いが必要だ」
—川辺川ダム問題は、有識者会議を設け、九月に結論を出すとしています。限られた期間で対応できるのでしょうか。
「有識者会議は賛成派、反対派の双方が抱く不信感を除くため、中立的、科学的な結論を出しうるメンバーを集めたい。人数は多ければいいとは考え ていない。日本中に影響を及ぼすことになるので、慎重かつ十分な議論を集中的にやってもらう。会議の結論は、論点の整理であったり、中間的な案になるかも しれないが、推進か、中止か、いずれかの結論を私が政治決断する。どんな結論でも血が出るのだろうが、それでもやらなくてはいけない」
—水俣病の被害者救済で、新潟県は独自の対応策をまとめた。熊本県は与党プロジェクトチーム(PT)に委ねるだけでいいのでしょうか。
「与党PTの判断が基本だが、県として患者の目線から能動的な参加ができないか考えている。新潟県の対応についても精査したい」(聞き手・小多崇)
熊本日日新聞2008年3月24日夕刊
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