2008年3月18日火曜日

asahi art opera biwako

オペラの聖地、運営ピンチ 滋賀県の「びわ湖ホール」

2008年03月18日01時42分

 東京・新国立劇場と並ぶ国内有数のオペラハウス「びわ湖ホール」(大津市)が揺れている。運営費を負担する滋賀県で、予算を削減し、福祉に充てられない か、との議論が進んでいるためだ。この動きを受け、17日、俳優や演奏家らの団体が、嘉田由紀子知事らに対し、事業継続を求める要望書を送るなど、波紋が 広がっている。

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琵琶湖岸に立つ滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール=大津市打出浜で

 びわ湖ホールは滋賀県が総事業費332億円をかけ、98年に開館した。4面舞台を備えた本格的なオペラハウス。初代芸術監督は若杉弘さん、現在は沼尻竜 典さんが引き継いでいる。運営委託する財団法人びわ湖ホールに、今年度、県が支出した指定管理料は約11億2000万円。

 財政難に苦しむ県は指定管理料の約1割に当たる1億1000万円をカットする予算案を提出している。これに加え、乳幼児医療費を据え置く財源を確保するため、さらなる削減も、県議会で論議されている。

 県秘書課によると、福祉医療費の据え置きを求める知事あての要望書は昨年12月から16日までに約30件提出された。一方、ホールの入場者は県外客が過半数。しかも食事や宿泊は隣の京都に流れる——となれば経済効果もあまり期待できない。

 こうした動きを憂えたのが音楽界や演劇界だ。俳優ら9万人が所属する日本芸能実演家団体協議会(野村萬会長)や日本オペラ連盟(五十嵐喜 芳理事長)をはじめ、日本オーケストラ連盟、日本演奏連盟、日本音楽家ユニオンの5団体が、文化事業の継続を求める要望書をまとめた。また、常連客らも全 国で署名活動をし、17日、2万6254人分を提出した。

 日本オペラ連盟の草壁貞二事務局長は「日本のオペラの水準を高めてきたびわ湖ホールの予算削減が現実になれば、財政難に苦しむ他の自治体が追随するのではないかと心配だ」と語っている。




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