2008年3月18日火曜日

asahi archeology nara fujiwarakyu fuhonsen

最古の貨幣「富本銭」に新種 藤原京跡

2008年03月18日00時07分

 日本最初の貨幣、富本銭(ふほんせん)(銅銭)で、従来のものに比べて字体や厚みなどが異なるタイプが、藤原宮跡(奈良県橿原(かしはら)市、 694〜710)で出土した地鎮具のつぼの中から見つかった。奈良文化財研究所が17日、発表した。専門家は複数の工房が存在していた可能性などを指摘、 不明な点が多い富本銭の実態に迫る発見としている。

写真

今回出土した富本銭(左)と飛鳥池遺跡出土の富本銭=17日、奈良県橿原市で

図表

  

写真

出土した地鎮具(上)と、その中から出てきた富本銭と水晶片=17日、奈良県橿原市で

 地鎮具は、天皇が執務した大極殿(だいごくでん)院南門近くの回廊跡で昨年10月に発見された。X線コンピューター断層撮影(CT)装置で透視したところ、中に富本銭と水晶が九つずつあり、調べていた。

 取り出した富本銭(直径2.44センチ、厚さ2.7ミリ)は、飛鳥池遺跡(同県明日香村、7世紀後半〜8世紀初め)などで見つかっていたものと異なって いた。「富」の字は飛鳥池では丁寧な隷書(れいしょ)風で、うかんむりだが、藤原宮跡では略式の行書風のわかんむり。「口」と「田」の左端が1本の線でつ ながっていた。中央の四角い穴のふちの線が太く、銅銭自体もやや厚くて飛鳥池のものの約1.5倍の6.7グラムあった。成分分析の結果、富本銭の特徴とさ れるアンチモンの含有量が極めて少ないものが9枚のうち4枚あった。

 一方、水晶9個(長さ2〜4センチ)は風化もなく、つぼに入れられた1300年前の光沢がよく残った状態だった。

 富本銭と水晶は、18日〜4月18日に橿原市の同研究所藤原宮跡資料室(土、日曜休館、29日は開館)で展示される。


0 件のコメント: