2010年6月9日水曜日

asahi shohyo 書評

ペンは世界を変える—行動する文学者集団の90年 [著]堀武昭

[掲載]2010年5月23日

 今年9月、国際ペンの世界大会が26年ぶりに東京で開かれる。日本ペンクラブ常務理事で 2002年に日本人で初めて国際ペンの理事になった著者が、国際ペンの90年の歴史を概説し、今回の東京大会の意義や日本ペンの役割などを説く。表現の自 由、平和への活動を旨とする国際運動組織ではあるが、国際政治と無縁ではありえず、東西対立や中東情勢に振り回され続けてきた。タフでなければ渡り合えな い国際組織の内情にはため息が出るが、少数言語や翻訳、巨大ネット企業との著作権をめぐる闘いなど、日本ペンの活動ぶりと理念がわかりやすく書かれ、勇気 づけられる。

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