2010年6月16日水曜日

asahi shohyo 書評

大和路の旅 [著]上田正昭

[掲 載]2010年6月13日

 1300年前の平城京遷都以前から、大和周辺では権力の興亡があり、渡来人が文化を伝えた。古代史の大家が、考古学の最新の研究成果 を盛り込みつつ、3世紀から8世紀の古代大和の歴史へと案内する。山の辺の道、飛鳥、奈良など、現在の地図に記された地名の奥に積もる時間の厚みに感慨が 深い。社寺や遺跡、歴史的事件の解説にとどまらず、著者はそこで繰り広げられた暮らしや人びとの祈りに、文献や遺物から思いをはせる。古代から神仏は習合 し、道教も生活の中にあった。大和散策の参考に。というか、読むと旅に行きたくなる一冊。

表紙画像

大和路の旅 (角川選書)

著者:上田 正昭

出版 社:角川学芸出版   価格:¥ 1,575

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