2010年6月19日土曜日

asahi art drama play Hideki Noda the Character

「信仰」テーマに集団の暴走を描く 野田秀樹が新作公演

2010年6月19日

 野田秀樹の作・演出・出演による新作「ザ・キャラクター」の公演が20日から、東京・池袋の東京芸術劇場中ホールで始まる。書道教室とギリシャ神話の世 界が交錯し、「信仰」というテーマが浮かび上がるスケールの大きな作品だ。ヒロインは昨年の「パイパー」に続き、宮沢りえ。謎めいた物語の中心人物を古田 新太が演じる。

 ある町の書道教室を、弟を捜している女性(宮沢)が訪れる。「家元」(古田)が率いるその教室にいるのは、一癖ある弟子たち。彼らはギリシャの神々に姿 を変え、「信仰」のエネルギーが思わぬ方向に向かってゆく。

 野田は「宗教は、20代の頃から考えているテーマ。信じることが人を不幸にする場合もある。そのことを書こうと2〜3年前から具体的な構想を固めてき た」と語る。

 「共同体の中で人々が恐怖に縛られ、集団で暴走し、止められないという状況は、どの時代にも、世界のどこにでもあること。宗教団体に限らず、国家でも、 小さなグループでも起きうる。そういう集団の怖さを見つめてみた」

 「家元」役の古田には「ちゃらんぽらんなように見えるけれど、実は、台本を深く理解してくれる品のある役者」と厚い信頼を寄せている。

 所属する劇団☆新感線の娯楽大作とは対照的な野田作品に度々出演している古田は、「お祭り騒ぎを楽しみたい観客も、興味深い話を見て何かを考えたい人 も、それぞれいるはず。僕は演劇ファンなので、どちらも『おもしろい』と思っている」と言う。

 「野田さんとの出会いは高校時代に見た『野獣降臨(のけものきたりて)』。にぎやかな劇の中に埋まっているものを発見するおもしろさに強くひかれた。分 からない言葉を帰ってから辞書で調べ、自分で考えて話をつなげるのも楽しかった。つまらない日常の言葉ではない言葉で書かれた野田作品に魅力を感じるの は、今も同じです」

 共演は橋爪功、藤井隆、美波、池内博之、チョウソンハ、田中哲司ら。公演は8月8日まで。9500〜5500円。電話03・6802・ 6681(NODA・MAP)。

 出演者の銀粉蝶がけいこ中に舞台装置から落ちて肋骨(ろっこつ)を折ったため、6月25日まで高橋惠子が代役を務める。その後は銀が回復ししだい復帰す るが、それまでは、大西智子と高橋が交代で演じる。。(山口宏子)



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