2010年6月30日水曜日

asahi shohyo 書評

生き方の不平等—お互いさまの社会に向けて [著]白波瀬佐和子

[掲載]2010年6月27日

 誰が誰に向かって、何のために不平等を語るのか。少子高齢化論などを専門とする社会学者であ る筆者は、そこから説き起こす。誰でも、問題の当事者になり、不平等の不条理さに直面する可能性がある。「お互いさま」とは、生きるうえでのリスクを、人 とのつながりの中で、最小限にするような関係。「標準的」なライフコースに沿わない生き方も考慮した、支え合いの制度設計が必要だという。子ども、若者、 働く男女、高齢者というライフステージに沿い、不平等のメカニズムを解明し、所得税改革による再分配政策の見直しなどの処方箋(しょほうせん)を示してい る。

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