死ねばいいのに [著]京極夏彦
[掲 載]2010年6月6日
派遣社員の若い女性アサミが殺された。「単なる知り合い」という青年ケンヤが彼女にかかわった人物を1人ずつ訪ね、アサミはどんな人 間だったかを問いただす。「無職のバカだから、まあ社会のこととか解(わか)んねーすよ」と自ら言うケンヤの問いかけに、派遣先の上司、隣室の女、アサミ のヒモだったヤクザ、母親、警察官らは、うそを暴かれ、心にまとった厚い衣を1枚ずつはぎとられていく。とどめを刺すように放たれるケンヤの言葉が「死ね ばいいのに」。
描かれるのは、現代の究極の謎である人の心。その奥深くをのぞきこむ怖さに震える。
- 死ねばいいのに
著者:京極 夏彦
出版社:講談社 価格:¥ 1,785
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