2010年6月9日水曜日

asahi science biology hakusanhatazao

気温を「記憶」季節見極めて開花 遺伝子の働き解明

2010 年6月8日14時14分

写真:ハクサンハタザオ=工藤洋教授提供ハクサンハタザオ=工藤洋教授提供

 春に白く可憐(かれん)な花を咲かせるハクサンハタザオは、6週間分の気温を「記憶」して開花時期を調整していることが、京都大学生態学研究センターの 工藤洋教授らの研究でわかった。同様の仕組みはほかの植物にもあると推定され、気温が短期間に上下しても、それに惑わされず季節に応じて花を咲かせる秘密 が解明された。米科学アカデミー紀要電子版に発表した。

 工藤教授らは、アブラナ科でシロイヌナズナの仲間のハクサンハタザオで働く遺伝子AhgFLCに注目した。この遺伝子は開花を抑える働きがあり、それが 最大時の1千分の1程度まで落ちると、開花を抑えていた仕組みが解除され、開花にいたる。

 この遺伝子の働きを2年間、1週間ごとに野外で測定した。この遺伝子が働く量は、季節によって変動していた。そこで、気温と遺伝子の働きの関係を統計的 に解析すると、6週間分の気温を反映させた値との相関が高いことがわかった。「温暖化で植物の開花時期がどう変化するのかといった予測にも役立ちそうだ」 と工藤教授は話している。(瀬川茂子)





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