「見るたびに発見」 フェルメールの魅力を再現した豪華な全作品集出版
[掲載]2012年07月10日
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オランダ17世紀を代表する画家の一人で、日本でも人気の高いヨハネス・フェルメールの画集『限定版 フェルメール全作品集』が小学館から刊行さ れた。世界各地に所蔵されている真作32点、真作の判断が留保されている5点の全37点が収録され、大判で豪華な限定版ゆえに実現した鮮やかで深みのある 色合いが、ファンや美術愛好家の目を刺激しそうだ。
例えば、「真珠の耳飾りの少女(青いターバンの少女)」で有名な�フェルメール・ブルー�。この高価な顔料「ラピスラズリ」の美しい青色を原画に近づけるため、また「光の画家」らしい絵の質感を高めるために各作品ページにニス塗りを施すなど、造本上の工夫をしている。
作品写真はフィルムだけでなく、「青衣の女」など復元された作品はデジタル写真を用いている。そのため作品の細部を最大で3.5倍まで拡大して見せるページも可能になり、実作ではわかりにくい筆致や作画中の息づかいが伝わる。
作品鑑賞だけでなく、各作品の詳細な分析や解説を読む楽しみもある。
執筆に「20万字」を費やしたというフェルメール研究の第一人者で本書の監修者・著者の小林頼子さん(目白大教授)は、「フェルメールの絵は見るたびに発見がある」と語る。
「絵画様式はひとつではなく、当時のオランダの国情や絵画ビジネスの状況もふまえて描き方を変えています。寡作でも生活ができたのはパトロンや裕福な義母 がいたこともありますが、フェルメールは実際的、理性的な判断ができる人物。経済感覚にもたけており、ラピスラズリもふんだんに使うのではなく、効果がよ りよく出る使い方をしています」
フェルメールめぐっては、かつて大きな贋作(がんさく)事件もあった。小林さんは「現在はほぼ真贋の決着がつきつつあります。出版までに2年半。最新の研究成果や考察・推察もすべて盛り込み、私がいま最も納得できる本になりました」と話している。
全194ページ。1000部限定で、シリアルナンバー入り。複製画が1点付く。フェルメールの全作品中、実物2点は、東京都美術館で開催中の「マウリッツハイス美術館展」で鑑賞できる。
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