異郷 西江雅之の世界 [著]西江雅之
[文]笠間直穂子 [掲載]2012年07月06日
「最近、わたしは改めて旅に憧れる」と書く著者は、約半世紀にわたって世界各地を、ことに秘境と呼ばれる土地を歩いてきた文化人類学者・言語学者 だ。あらかじめコースが決まった「旅行」ではなく、驚きに満ちた「旅」へと向かわずにはいられない。本書は、そんな無類の旅人が長年撮り溜めた数万枚にも 及ぶという写真の中から選んだ130点ほどのカラー写真と、撮影地にまつわるエッセイを収めたもの。インド洋、東アフリカ、カリブ海域、そしてパプア ニューギニアの人々の姿が、いきいきと捉えられている。
色鮮やかなビーズをまとったマサイ人たち、ごった返すハイチの市場。ニューギニアでは、 目をみはる派手ないでたちで祭りに臨む人々もいれば、普段の手仕事をしながら笑顔を見せる人も。老若男女、みな表情がいい。現地に親しみ、個人と個人の血 の通った付き合いを交わす著者だからこそ描き出せる世界だ。現在はもはや失われつつある風景も多いという。多様な出会いに身をさらす旅の喜びが伝わり、 ずっと眺めていたくなる。
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著者:西江 雅之/ 出版社:美術出版社/ 価格:¥2,625/ 発売時期: 2012年04月
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