考える鉛筆 [著]小日向京
[文]トミヤマユキコ [掲載]2012年07月06日
文具雑誌での執筆活動をメインとする著者による、1冊まるごと鉛筆の本。削る、書く、持ち運ぶ……鉛筆にまつわるどんなシーンも逃すことなく褒め て褒めまくるという、相当マニアックな内容だ。鉛筆への溢れる思いは、削りカスだってけっして仲間はずれにはしない。「削りたての木軸と黒鉛芯の削りかす が奏でる香りの競演は、もはやアロマテラピーの一種といってもいいほど」であり、しかも「机でしばらく愛でていたいオブジェ」ですらあるという。
想像の斜め上を行く、著者独特の「のめり込み具合」は、笑いながら読み進めていくうち、だんだんクセになってゆく。そして気付けば、遠い昔、毎日のように鉛筆を使っていた日々が少しずつ思い出され、懐かしい気持ちで胸がいっぱいに。
鉛筆と深い関係にある諸文具への目配りも忘れてはいない。消しゴムやキャップはもちろん、驚くべきことに「飲食店の紙ナプキン」までもが登場する。その意味で本書は、鉛筆を中心とした「筆記具文化論」でもあると言えそうだ。
この記事に関する関連書籍
著者:小日向京/ 出版社:アスペクト/ 価格:¥1,575/ 発売時期: 2012年03月
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