江戸の神社・お寺を歩く[城東編] [著]黒田涼
[文]青木るえか [掲載]2012年07月20日
■保育社のカラーブックスを思い出した!
保育社のカラーブックスという、文庫本サイズでカ ラー写真を多用した、カクテルとか民芸こけしとか折り紙とか漬物とかを解説したシリーズがあって、子供の頃によく読んだ。どの本屋にも「カラーブックスの 棚」があったものだ。これで東京の老舗をたくさん知ったが、長じてからもそれらの老舗とは無縁の生活であり、また何の役にも立っていない。ただ「さるや」 「うぶけや」なんて店名は用もないのに死ぬまで記憶のどこかにしまわれているのだろう。
この「役に立たんだろうがきちっとした知識を与えてくれ る本」的な役割を、今は新書が積極的に担っていってほしいのだが、自己啓発系とか金儲け系が多くて大変嘆かわしい。でもたまに、あるんですね、「おお、こ れはカラーブックスで出るとバッチリ!」という新書が。この本もそうです。定年退職後の有り余るヒマを神社仏閣めぐりでつぶしましょうという新書がたくさ んあるが、この本が良いのは、無名で、なおかつしょぼいとすら思える神仏をやけにたくさん紹介していることだ。神社なんかことにそうで、ただの祠、みたい のがいっぱい載っている。このあたりはすごくカラーブックスを感じるところで、私が愛読していた「今の東京に残る江戸の遺跡」みたいな巻も、こういう祠み たいな神社や、どっかの家のブロック塀の穴から見える誰かの墓とか、「そこらに落ちてる漬物石」かと見紛うような石碑とかを紹介していて、それにやけにド キドキさせられて見に行ったもんだ。訪ねていったらラブホテルの隣だったりして、それもまた風情があった。
それと同じドキドキを、ひさびさに味 わいましたねこの本! 築地波除(なみよけ)神社の玉子塚とか、亀戸香取神社の神式墓地とか、用もないのに行ってみたくてたまらなくなってきた。これは 「城東編」で「城西編」も出たらしく楽しみだ。ほんとは全国津々浦々でやってほしいが、田舎には案外こういうものはないかもしれない。やはり都会は得であ る。
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著者:黒田涼/ 出版社:祥伝社/ 価格:¥1,155/ 発売時期: 2012年06月
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