せいめいのはなし [著]福岡伸一
[文]中川六平 [掲載]2012年07月20日
「動的平衡」を唱える著者が、内田樹、川上弘美、朝吹真理子、養老孟司の4人と交わした対話で構成。内田樹に「動的平衡」をこう語る。動的平衡と は、生命を構成する要素が「絶え間なく消長、交換、変化しているにもかかわらず、全体として一定のバランスが保たれている系(システム)」。
内 田は、この動的平衡という考えは、「ものがグルグル回る」経済活動の本質に近いのでは、という。商品や貨幣に価値があるのではない。それが価値があるよう に見えるのは、そうしないと「グルグル回らないから」。そしてサッカーなどのボールゲームには、人間が社会を構成していくときの根本原理が書き込まれてい る、と。川上弘美は、小説を書くことにひき付けて話す。脳単独ではなく、脳があり心臓も胃もあるという関係性のなかで時間を経ることで今の自分がある。小 説も登場人物たちの行動の可能性は無限にあるが、書いているうちに、物語の行方が決まってくる、と。
様々な「生命」についての自由自在で刺激に満ちた言葉であふれている。
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著者:福岡伸一/ 出版社:新潮社/ 価格:¥1,470/ 発売時期: 2012年04月
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