2012年7月24日火曜日

asahi shohyo 書評

昆虫食入門 [著]内山昭一

[文]笠間直穂子  [掲載]2012年07月27日

表紙画像 著者:内山昭一  出版社:平凡社 価格:¥ 882

 巻頭のカラー図版に並ぶのは、コオロギの揚げ物、カイコ蛹の炒め物、虫をのせたピザ……。ぎょっとする人も多いだろう。けれども、決して悪趣味を ひけらかすような本ではない。著者はメディアでも活躍する昆虫料理研究家。世界中でどんな昆虫がどんなふうに食べられているのか? 昆虫を食材として考え る意義は?著者自身の活動を絡めて、昆虫食をめぐるトピックスを楽しく、わかりやすく教えてくれる。
 圧巻は第2章「食べられる昆虫プロフィー ル」。日本で親しまれてきたイナゴ、ハチの子はもちろん、タイ料理に欠かせないフルーティーな香りのタガメ、世界各地で食卓にのぼるナッツ風味のセミな ど、調理法や味、文化背景とともに、おいしい虫のいろいろを紹介。おいしい虫とまずい虫があるのだと実感できる。考えてみれば当然だ。目から鱗が落ちる。
 後半では食料資源としての生産効率など、今日における昆虫食の可能性を探る。虫は気持ち悪いという固定観念に風穴を開け、食とは何かを根本から考えさせる一冊。

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著者:内山昭一/ 出版社:平凡社/ 価格:¥882/ 発売時期: 2012年04月

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