2009年5月21日木曜日

asahi shohyo 書評

この一身は努めたり—上田三四二の生と文学 [著]小高賢

[掲載]2009年5月10日

  昭和天皇死去の翌日に65歳で亡くなった上田三四二は、歌人・小説家・文芸評論家として各分野の大きな賞をほとんど受け、歌会始の選者も務めるなど並でな い栄誉に包まれながら、強烈な存在感を残したとは言いがたい。しかし2度のがんを含め病続きの一生で、多くの仕事に果敢に取り組んだ。その基盤となる短歌 に上田は何を託し、何を得たか。歌人である著者は、年齢を追って、時に境涯と重ね合わせながら歌を読み込む。短歌は固有名や境涯を離れた詩として独立でき るのか。「短歌を考えるひとつのリトマス試験紙」と見立てた追究は、著者にも返る。

表紙画像

この一身は努めたり (上田三四二の生と文学)

著者:小高 賢

出版社:トランスビュー   価格:¥ 2,940

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