2009年5月9日土曜日

asahi science history genetics horse

ウマとヒト、5千年のつき合い 家畜化時期を毛色で分析

2009年5月7日6時41分

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写真:様々な毛色のタイプのウマ。約5千年前から家畜化が進んだようだ=サイエンス提供様々な毛色のタイプのウマ。約5千年前から家畜化が進んだようだ=サイエンス提供

 ウマの家畜化は約5千年前に始まり、以後、様々な体色のウマが生まれてきた——。ドイツと米国の研究チームが、古代のウマの骨から採取した毛色に関する遺伝子の分析でわかったと、米科学誌サイエンスに発表した。

 シベリアや中東、欧州などで見つかった古代のウマの骨89個で、毛色に関係する六つの遺伝子の変異の有無などを調べた。すると、約7千〜1万4千年前の骨からは茶褐色の毛色になる遺伝子しか見つからず、当初はこの毛色だけだったことがわかった。

 それが、6千〜7千年前ごろの骨からは黒毛になる遺伝子が見つかり、2色に増えた。5千年前ごろのウマの骨からは、クリーム色や白毛になる遺伝子が見つかった。4千年前ごろからは、まだら模様など、多様な毛色になる変異が見られるようになった。

 チームは、黒色の出現は森林の増加といった環境変化に対応したもので、ウマはまだ野生状態だったが、約5千年前以降の急速な体毛の色の増加は、その時期に人が家畜化したため、と結論づけた。

 ウマの家畜化は出土した馬具などから、3千〜4千年前とする説があった。一方、英国の研究者が今年3月、カザフスタンで見つかった約5500年前のウマ の骨に馬具の傷跡があったことなどから、約5500年前とする論文を発表した。今回の遺伝子の分析結果は、この見方を後押しする成果といえそうだ。

 日本中央競馬会競走馬総合研究所の楠瀬良次長は「野生では目立つ色だと捕食の対象になるため、みんな同じ色だったのだろう。人が家畜化してからは、他人のウマとの差別化からも、違った毛色が現れたとき、積極的に残していったのではないか」と話す。(本多昭彦)




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