ローマ法王巡礼の旅 ユダヤ指導者との溝は埋まらず
【エルサレム=南島信也、井上道夫】ローマ法王ベネディクト16世は15日、イスラエルなど中東の聖地巡礼の旅を終えた。宗教間の関係修復が課題だったが、ユダヤ教指導者から思わぬ反発を受け、十分な成果をあげることはできなかった。
エルサレムにあるホロコースト(ユダヤ人虐殺)記念館を訪れた法王は、虐殺を生き延びた人々の手をとった。式典では「犠牲者の苦しみ」に触れ、追悼の意 も表明。だが、ユダヤ教指導者からは「ホロコーストを防げなかったことへの謝罪がなかった」と手厳しい批判が返ってきた。
法王庁のロンバルディ報道官は「なぜ、こんなに批判されるのか分からない」と困惑顔だ。だが法王が今年1月、ホロコーストの否定発言をした超保守 派司教らの破門を解除したことや、かつてナチスの青少年組織に自ら所属していたことなどが最後まで響き、ユダヤ社会の不信感をぬぐえなかったようだ。
一方で、パレスチナ自治区を訪れた際には、パレスチナ人に寄り添う発言が目立った。パレスチナ国家樹立による中東和平実現を強く促し、イスラエル軍による大規模攻撃を受けた自治区ガザについても「(イスラエルによる)境界封鎖がすぐに解かれることを祈る」と語った。
弱者の味方という立場をアピールする狙いがあったようで、バチカン内からは「言うべきことはきちんと言った」と評価する声も出ている。
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