世界の「希望」一冊に オバマ氏就任の日、132人が撮影
2009年5月14日
アメリカ史上初のアフリカ系(黒人)大統領が誕生した1月20日に、世界中の132人の写真家が「HOPE(希望)」をテーマに写真を撮影。それぞれの思 いをつづった文章と共に構成した本『ディス・デイ「希望の一日」』が発売された。出版業界では、久しぶりにスケールの大きな試みだ。
朝日を浴びて、遠くを見つめる少年の名前は那音太(ナー・イン・タイ)。中国内モンゴル自治区シリンゴル盟・東ウジムチン旗の草原に住むモンゴル族だ。
写真家は阿音(アー・イン)さん。独学で写真を学んだ彼もまたモンゴル族で、1998年からウジムチン旗に居を構え、草原に住 む遊牧民を撮影し続けている。一度草原に出ると遊牧民と寝起きを共にし、しばらく自宅に帰らない。独特の撮影スタイルから、中国では「撮影の狼(おおか み)」と呼ばれる。
「写真を撮る時、那音太に『アメリカに初の黒人大統領・オバマが誕生したよ』と話したら『"オバマ"ってどんな食べ物? おいしいの?』って聞かれたよ」と笑う。
今回のプロジェクトを企画したのは、雑誌「クーリエ・ジャポン」(講談社)の古賀義章編集長だ。「世界中の写真家に"それぞれ の1月20日"を撮ってもらい、共有できないかと考えた」と語る。各国の写真家に直接撮影を依頼。「多くの人が仕事を超えた何かを感じ、『自分なりの希望 の形を写真に収めて下さい』という趣旨に賛同してくれた」(同誌フォトエディターの後藤由美さん)という。
大統領就任に沸くワシントンの光景、パレスチナで生まれた新生児、イタリアの刑務所から出所したアルジェリア移民。79カ国か ら千枚を超える写真が集まった。阿音さんも、仕事を超えた何かを感じて参加した。「初の黒人大統領が国際社会や中国に与える影響は大きい。その就任記念の 活動にチンギス・ハーンの"子孫"である草原の写真家が参加する意義も大きい」
集まった中から約70点を選んで展示する写真展も、東京の新宿高島屋で開催中(入場無料、31日まで)。6月には英文の豪華版も刊行予定だ。(竹端直樹)
- COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2009年 06月号 [雑誌]
出版社:講談社 価格:¥ 780
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- ディス・デイ「希望の一日」
出版社:講談社 価格:¥ 3,360
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