2010年10月12日火曜日

asahi shohyo 書評

時間と出来事 [著]渡辺由文

[掲載]2010年10月10日

  時は流れる。時間は過ぎ去る。私たちはなにげなくそう口にするが、時間を見たこと聞いたこと触れたことがある者などいないのに、なぜそう表現するのだろう ——。哲学研究者ではなく、哲学者でありたい。そんな願いを抱いた著者が構築する時間論だ。人間にとって時間とは何を意味するのか、あくまで平易な言葉で 時間の正体を追求する。著者の経歴は、1954年生まれであることと本書が東大の学位論文であること以外ほとんど明らかにされていないが、師事する哲学者 松永澄夫氏とのやりとりは、学問とは本来こういう姿であるべきなのだろう、と思わされる。

表紙画像

時間と出来事

著者:渡辺 由文

出版社:中央公論新社   価格:¥ 2,940

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