最大・最古級の未盗掘「粘土槨」 相当の副葬品か 兵庫
兵庫県宝塚市の前方後円墳「長尾山古墳」で、木棺を包んで保護する国内最大級で最古級の「粘土槨(かく)」が見つかり、同市教育委員会と大阪大考古学研 究室が12日、発表した。周辺から出土した埴輪(はにわ)の形から古墳時代前期前半の4世紀初めの墳墓とみられている。粘土槨の中には木棺のほか、貴重な 副葬品が入っている可能性が高いという。
粘土槨は高さ1メートル以上、幅2.7メートル、長さ6.7メートルのかまぼこ状。後円部の墳頂に深さ2メートル以上、幅5メートル、長さ9メートルの 竪穴を掘り、礫(れき)を敷いた上に築かれていた。造られた当時の形をほぼ保っており、この時代の粘土槨がほぼ完全な状態で確認されたのは初めてとされ る。
長尾山古墳は全長約40メートルという規模から、大和王権と同盟関係にあった地域首長の墓とみられている。盗掘しようとした跡はあるが、穴は木棺まで達 せず、棺内には鏡や刀剣、甲冑(かっちゅう)、勾玉(まがたま)などが残っている可能性が高い。木棺内部の調査については、多額の費用がかかるほか、開封 すると内部の腐食が進む恐れもあり、方針は決まっていない。
粘土槨がある同時代の古墳としては、奈良県御所市の鴨都波(かもつば)1号墳(方墳)などがある。鴨都波1号墳からは古代中国の王朝・魏(ぎ)から邪馬台国の女王・卑弥呼に贈られたとの説がある「三角縁神獣鏡(さんかくぶちしんじゅうきょう)」などが見つかっている。
現地説明会は16日午前10時から随時。住所は宝塚市山手台東1の4の424、阪急宝塚線山本駅から徒歩約10分。問い合わせは同市教委(0797・77・2029)へ。(谷辺晃子、大脇和明)
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<粘土槨> 墓穴内に納められた木棺を覆い、保護するための粘土の層。棺の大きさによって規模が変わる。古墳時代前期(3〜4世紀)に特徴的な埋葬方法で、造るのが大変な石室のある墓の方がより権力のある人物の墓とされている。
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