2010年10月6日水曜日

asahi shohyo 書評

作家は移動する [著]青木保

[掲載]2010年10月3日

  「小説・文学作品なしでの生活は考えられない」という文化人類学者の著者が村上春樹、多和田葉子ら現代日本文学の6人の作家の作品を「移動」の観点から読 む。日本の作家は外国で暮らし外国に題材をとることを嫌うと思っていたが、いつの間にか移動が創造の重要なモチーフになる小説家の作品を楽しむようになっ ていたという。自身も移動により世界を開示する学問の徒。多和田やリービ英雄には「異国での生活」に加え、母語と外国語間の移動も加わり、その「ずれ」の 読み解きも興味深い。表題は江藤淳の長編評論『作家は行動する』を念頭に置いたという。

表紙画像

作家は移動する

著者:青木 保

出版社:新書館   価格:¥ 2,520

0 件のコメント: