編纂から1300年 今どき古事記、続々
[文]増田愛子 [掲載]2013年02月27日
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稗田阿礼(ひえだのあれ)がそらんじた伝承などを書き記したとされる「古事記」。編纂(へんさん)から1300年が過ぎても、漫画や小説など様々なジャンルの現代の語り部たちによって、魅力を再発見され続けている。
漫画家・こうの史代が、天地創生から神武天皇誕生までを絵物語風に読み解く『ぼおるぺん古事記』(平凡社)の完結・第3巻が26日、発売された。1、2巻の累計は10万部を突破しているという。
「登場する神々は、マイペースだったり世渡りが苦手だったり。でも、そういうキャラにも居場所がある」。こうのが見つけた面白さだ。
乱暴者のイメージがあるスサノオは、憎めないやんちゃ坊主風に。食物をつかさどる神は割烹着(かっぽうぎ)姿に。豊かな表情やしぐさで、神々をおおらかに描き出した。
「今の時代は、少しでもはみ出した人を袋だたきにするとか、多様性を許さない雰囲気がある」。だからこそ届けたい、他者への思いやりに満ちた物語だと感じる。
「日本固有の文字がなかった当時の人に、今は誰もが文字や絵を自由に発表する機会に恵まれた世の中になったんだと伝えたくて」、手軽な画材のボールペンを選んだ。
古事記では、日本語の音を表すため、漢文と共に変則的な漢文が使われている。そのギャップに魅力を感じるというのが、画家・書家・陶芸家の高仲健一だ。「大和言葉と漢文的部分は一見ちぐはぐだが、読むと何とも言えない優しさに包まれる」
原文からイメージした神々の絵に、自らの手による口語訳を添えた『絵古事記』(自然堂出版)を昨秋、出した。
漫画家・近藤ようこは、ヤマトタケルとオトタチバナヒメなど五つのラブストーリーに注目。『恋スル古事記』(角川書店)にまとめた。
「世界中に通用する話を、昔から持っていたんだな」と誇りを感じた、というのは作家・荻原規子だ。日本神話をモチーフに少年少女の成長を描いた『空色勾玉(まがたま)』(徳間書店)が根強い人気を誇る。
小学生の時、児童向けの古事記を読み、妻を死の国まで追っていくイザナキに、ギリシャ神話のオルフェウスを重ねた。中高生時代は、英米のファンタジーに夢 中に。しかし作家の道を意識し始めた大学時代、古事記を原文で読み「西洋的世界を借りても負ける。日本の地層の奥深くに向かうべきじゃないか」と実感し た。
ゲームなどを入り口に日本神話に親しむ若い世代も出てきた今を、古事記「再発見」の時期と考える。「日本には、現代の私たちが見つけていないものがずいぶんある。掘り下げれば色々出てくると思います」
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