2010年7月14日水曜日

asahi shohyo 書評

無神論—二千年の混沌と相克を超えて [著]竹下節子

[掲載]2010年7月11日

 無神論という視座から思想史を眺め直す試み。第1部では西洋近代をつくることになったヨー ロッパにおける無神論の系譜をたどり、第2部ではアメリカやアートといったテーマごとに光を当てていく。無神論を語ることは神を語ることと同じように広範 囲にわたると著者自身もいうように、ギリシャ・ローマから現代まで、神と無神論は鏡のように互いを映し出す。宗教と無神論の拮抗(きっこう)のノウハウを 失いつつあるキリスト教文化圏にとって、無神論の影がないイスラム世界の聖教一体の宗教思想がいかに思いがけない脅威となったか、と著者は指摘する。

表紙画像

無神論—二千年の混沌と相克を超えて

著者:竹下 節子

出 版社:中央公論新社   価格:¥ 2,730

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