2010年7月27日火曜日

asahi shohyo 書評

ハングルの誕生—音から文字を創る [著]野間秀樹

[掲載]2010年7月25日

  15世紀半ば、朝鮮半島で、国王世宗と学者たちの手で、新しい文字体系「訓民正音」、後のハングルが生まれた。多くの言語と同様、音による<話されたこと ば>としてのみ存在していた朝鮮語が、いかに<書かれたことば>につくり上げられたのか。著者は、ハングルを書くことを「単なる文字ではなく、<知>と感 性のありとあらゆる細部を支えるもの」として描き出す。それは、漢字と闘い、植民地時代には日本語と闘い、「生き死にを懸けるできごと」だった。著者とと もに、新たな文字と文章(テキスト)が生まれる革命に立ち会うような経験ができる。文献案内も充実。

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