2010年7月27日火曜日

asahi shohyo 書評

レンブラントの帽子 [著]バーナード・マラマッド

[掲載]2010年7月25日

  一時は全集まで編まれたが、近年忘れられていたユダヤ系米国人作家。昨年、柴田元幸さんの新訳が出て、それを評した大江健三郎さんの本紙コラムなどで久々 に話題になった。かつて出ていた3作を再録したのが本書。短編一筋、推敲(すいこう)に推敲を重ね、削りに削っていった文章が独特。どの物語も、人生の淡 い悲しみに彩られた話で、筋自体はとりたてて難しくはない。ないのだが、いつも物語の周辺に、なぞめいたものが残る。理解しにくい文章がある。気になっ て、繰り返し読む。なぞはさらに深まり、さらに深くはまっていく。人生そのもののような短編。

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 小島信夫ほか訳

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