「幻の御殿」の障壁画発見 名古屋で31日から公開
興正寺(名古屋市昭和区)が所蔵、二の丸御殿の障壁画と確認された「唐人物図屏風」の右側
「唐人物図屏風」の左側
名古屋城の二の丸御殿を飾っていた障壁画の一部が発見された。ふすま絵を仕立て直したびょうぶ2点で、江戸初期に狩野派の絵師が描いたとみられる。22 日、徳川美術館(名古屋市東区)が発表した。31日から同館で開かれる「大名古屋城展」(朝日新聞社など主催)で公開される。
二の丸御殿は尾張藩主とその家族のための御殿で、藩政の中心となる施設でもあった。明治初期に旧陸軍の兵舎建設のために解体され、その遺構も伝わっていない「幻の御殿」だ。現在復元工事が進む本丸御殿より規模が大きく、多数の障壁画で飾られていたとみられる。
今回発見されたのは、中国の服装をした人物群を描いた「唐人物図屏風(とうじんぶつずびょうぶ)」と、開花した梨の木に様々な鳥を配した「梨木禽鳥(り ぼくきんちょう)図屏風」。明治期に元尾張藩士が私費でふすま絵十数枚を購入したという記録があり、その一部とみられる。現在は、尾張徳川家とゆかりの深 い興正寺(名古屋市昭和区)が所蔵している。名古屋城の諸施設を記録した史料「金城温古録」に記載されたふすま絵の絵柄と一致していたことなどから、二の 丸御殿のものと判定された。
調査にあたった同館主任学芸員の原史彦さんは「これまで二の丸御殿のものと伝えられた障壁画はあったが、文献史料で裏づけられたのはこれが初めて。今後、新たな障壁画の発見も期待したい」と話している。
公開期間は「唐人物図屏風」が31日〜8月31日、「梨木禽鳥図屏風」が9月1〜26日。(西岡一正)
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