2009年4月2日木曜日

asahi shohyo 書評

「20円」で世界をつなぐ仕事 [著]小暮真久

[掲載]2009年3月25日朝刊

■「想(おも)い」と「頭脳」で稼ぐ社会起業家

  著者は、最近耳にする「社会事業」、そしてその担い手である「社会起業家」について、その魅力を余すところなく紹介する。社会事業においては、その利益を 株主に還元するのではなく、社会を変えるための活動に使う。そして著者いわく、社会起業家とは社会が抱えている問題に光をあて、自らが解決策を模索し、実 践する人たちである。したがって、社会事業はとかくイメージされがちな、正義感の強い人の集まりでもなければ、善意のボランティア組織でもない。その目指 すところは異なるが、要するに特別視する必要は全くない。

 著者はNPO法人TFT(テーブル・フォー・ツー)の事務局長として活躍中だが、仕事の中身は社員食堂をもつ企業と提携し、通 常よりも20円高い値段で、低カロリーで栄養バランスのとれた特別メニューを提供してもらって、その金額をアフリカの子どもたちの給食費にあてるという仕 組みである。社員がヘルシーメニューを食べると、アフリカの子どもたちに1食分の給食が寄付されるというわけだ。本書につづられた著者の歩みは、30代半 ばにして天職に出合うまで決して平坦(へいたん)とはいえない。しかし一読すると、著者の強い自信とその使命感に私たちは感動を覚えざるをえない。「社会 起業家は、現代の革命家」というその言葉に納得させられるのである。

表紙画像

"想い"と"頭脳"で稼ぐ 社会起業・実戦ガイド 「20円」で世界をつなぐ仕事

著者:小暮 真久

出版社:日本能率協会マネジメントセンター   価格:¥ 1,470

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