「メスはオスより記憶障害に強い」 理研、マウス実験
メスはオスよりも記憶障害に強い——。こんな研究成果を、理化学研究所脳科学総合研究センターのチームがマウスの実験で示した。女性ホルモンの「エスト ロゲン」が脳の血液循環をよくして、短期記憶能力を改善する働きをしているという。9日付の米科学誌プロスワンに発表した。
チームは、神経の情報伝達にかかわるアセチルコリンという物質を働かなくさせ、血液循環の悪いマウスをつくって、脳への影響を電子顕微鏡などで解析した。
すると、オスは血流の低下とともに、脳の神経細胞の間を埋めている細胞が膨張して、神経細胞の突起が萎縮(いしゅく)。迷路を使った短期記憶のテストをしたら、学習能力が落ちていた。ところが、メスには異常が現れなかった。
チームは、メスの卵巣から出るエストロゲンがかかわっているのではないかと推測。脳の血流の低下で記憶力が落ちたオスにエストロゲンを投与したところ、血流が戻り、神経細胞の突起の萎縮も回復。迷路のテストの結果も、通常のレベルに戻った。
同研究センターの山田真久ユニットリーダーは「女性の脳は生まれながらにして環境変化に強いことを示している。神経の突起の萎縮が起こるしくみなどを解明して、脳機能を改善させる薬の開発に役立てたい」と話す。(佐藤久恵)
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