岩の湯船、1200年後のお引っ越し 修善寺・独鈷の湯
地元の人や観光客が見守る中で、独鈷の湯の「引っ越し」が始まった=静岡県伊豆市の修善寺温泉
開湯以来約1200年、川の中にあった修善寺温泉(静岡県伊豆市)独鈷(とっこ)の湯の「引っ越し」が4日始まった。水の流れを狭め、水害の原因になっ ている現状を改善するのが目的。底から続く岩の「湯船」を切り取り、川幅の広い19メートル下流に移すという難工事で、移動には5日程度かかる見込みだ。
引っ越す「湯船」は直径7〜12メートル、高さ約3メートル。重さは約370トンで、保護用のコンクリートを含めると480トンにもなるという。戦前までは岩のすき間などから自然に湯がわき出ていたと伝わるが、現在は給湯管で湯を引き入れている。
これまでの工事では、岩の中に直径10センチと17.5センチの穴を計71本通し、頂上部分の「湯船」を切り離すという「前例のない工法」(県沼津土木 事務所修善寺支所)が採用された。移動は、切断面に厚さ6ミリの鉄板を入れ、後ろから巨大な油圧ジャッキ6台を使って押して鉄板の上を滑らせていく。
修善寺温泉にはこの日も大勢の観光客らが訪れ、地元の人たちも含めた約200人が午前10時の開始を見守った。横浜市から両親と訪れた会社員の女性(30)は「1200年の歴史的場面に立ち会えてうれしい。でも、自然の形でなくなるのは少し残念」と話した。
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