神様にまかせきる [著]五井昌久
[掲載]2009年3月25日朝刊
■永遠に続く悩みや苦痛は存在しない
不況が続くと、普段は信仰と縁のない者まで神や仏に祈りたくなる。それは、誰の心にも自分を超える何かに対する畏敬(いけい)の念が宿っているからだろ う。しかし、信仰心とは気高く尊いものだという先入観がないだろうか。本書を読むと、信仰に至る敷居は決して高くなく、実は自然に身につくものと理解する ことができる。著者はすでに没しているが、宗教団体、白光真宏会の主宰者。雑誌、単行本に未収録の講話を集めたのが本書である。
著者は今までの宗教や倫理は「ああしてはいけない、こうしてはいけない」と、エネルギーを人間の潜在意識に押し込んできた、そ れが間違いだと説く。宗教というのは人間を自由に解き放つ教えである。怒りや妬(ねた)みを抑圧するのではなく、むしろ「軌道の外に出すべき」なのだ。こ れは、理解しやすく、うなずけることでもある。また、次のような言説も斬新だ。神様、仏様を信じることで、人は本当ならば明るくなるはずである。ところ が、世の多くの宗教では人は明るくならない。それは宗教を難解にしてしまっているからでもある。宗教とは「簡単で実に楽」なのだ。神様にすべてを託す、そ のことに尽きるからだという。
こうした自由無碍(むげ)な感覚から生まれたのが「世界人類が平和でありますように」という、誰も否定できない祈りだったのだ。信仰の入門書としても最適だろう。
- 講和集〈1〉神様にまかせきる (講話集 1)
著者:五井 昌久
出版社:白光真宏会出版本部 価格:¥ 1,680
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