2010年4月6日火曜日

asahi shohyo 書評

蜷川幸雄の劇世界 [著]扇田昭彦

[掲載]2010年4月4日

  1969年以来、蜷川演出の舞台をほとんど見ているという著者による「蜷川論」集大成。新聞・雑誌などに書いた劇評や評論、巻末には俳優としての出演も含 めた詳細な「年譜」も。新劇俳優として出発し、小劇場演劇を率いて後、商業演劇も手がけて日本を代表するスター演出家になった。しかし、演出本数が最多の 劇作家は圧倒的にシェークスピアで、近代リアリズムの劇は極めて少ないなど、独自の世界を示す。蜷川が舞台の上に追い求めるものは何か。私たちは蜷川演出 の何に魅せられるのか。旧知の著者の問いに率直に答える対談「演出家の役割」が興味深い。

表紙画像

蜷川幸雄の劇世界

著者:扇田 昭彦

出版社:朝日新聞出版   価格:¥ 2,625

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