2010年4月10日土曜日

asahi archeology history South Africa hito Austraropythecus sedi

200万年前の新種猿人化石 ヒト属起源探るてがかり

2010年4月9日18時48分

写真:セディバ猿人の頭の骨=南アフリカ共和国のウィットウォータースランド大など提供セディバ猿人の頭の骨=南アフリカ共和国のウィットウォータースランド大など提供

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 南アフリカ共和国の洞穴から約200万年前の人類の祖先である猿人の新種の化石がみつかった。ほぼ完全な頭の骨に加え、歯や骨盤、腕、脚の一部などが発 掘されており、全身像も判明した。初期のヒト属が生まれたと考えられる時期と重なっており、ヒト属の起源を探る上で重要な手がかりになりそうだ。

 同国や米国などの研究者でつくる国際チームはこの新種の猿人を「アウストラロピテクス・セディバ(セディバ猿人)」と名付けた。セディバは南アフリカのソト語で「泉・水源」を意味し、ヒト属の起源解明への期待を込めた。

 セディバ猿人の化石はヨハネスブルクの北約40キロにある洞穴の195万〜178万年前の地層から男女1体ずつ計2体見つかった。身長はともに約 1.27メートルで、体重は男性が約27キロ、女性が約33キロと推定された。年齢は、男性が10歳前後の子ども、女性が20代後半〜30代前半。男性の 脳の容量は420〜450立方センチで現生人類の3分の1程度という。

 骨盤の筋肉の付き方など下半身の特徴は、ヒト属に近く、二足歩行していたと考えられる。一方で、腕は長く木登りに向くという猿人の特徴も兼ね備えている。研究チームは、体全体としてはアウストラロピテクスの特徴が多いため、その一種と判断した。

 研究成果は9日付の米科学誌サイエンスに発表される。

 国立科学博物館の馬場悠男名誉研究員(人類形態進化学)は「一つの種の化石が2体分もあるのは非常に貴重で、これまでに部分的に見つかっていた他の猿人の化石研究で参考になる」という。

 東京大総合研究博物館の諏訪元(げん)教授(自然人類学)も「『ヒト属の起源につながる新種』との解釈は現段階ではできないが、南アフリカにおけ る猿人の進化や、東アフリカも含む地域で見つかっている初期人類の進化の理解に貢献する貴重な新発見だ」と話している。(松尾一郎)




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