2010年4月12日月曜日

asahi culture tsuito Hisashi Inoue

井上ひさしさん追悼「父のよう」「図書館みたいな人」



写真:井上ひさしさん
井上ひさしさん写真:井上ひさしさんが共作したNHKの人形劇「ひょっこりひょうたん島」井上ひさしさんが共作したNHKの人形劇「ひょっこりひょうたん島」上ひさしさんが共作したNHKの人形劇「ひょっこりひょうたん島

写真:単行本発行時の「吉里吉里人」の表紙単行本発行時の「吉里吉里人」の表紙

 肺がんで9日に亡くなった作家・劇作家の井上ひさしさん。舞台、小説、映画など幅広いその活躍ぶりを映して、さまざまな文化関係者から追悼の声が寄せられている。

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 劇作家・演出家の野田秀樹さんの話 最も尊敬する、お一人でした。井上さんが先に行っているから、あそこまで頑張ろう、と思えた。最も尊敬するお一人でした。私にとって父のような存在でした。いつか「ライバルです」って、言ってみたかった。

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 劇作家の三谷幸喜さんの話 喜劇も人形劇も一人芝居も必ず目の前に井上さんがいました。いつも「この素材を井上さんならどう書かないか」を考えます。井上作品のあの深みと重み。同じ方向に行っても勝てるわけはないですから。

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 演出家・栗山民也さんの話 巨大な世界の認識者だった。作品すべてが、豊かな笑いと共に、世界と人間に対する警告を発する書だと私は受けとっている。

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 井上さんの小説をもとにした一人芝居「唐来参和(とうらいさんな)」の俳優、小沢昭一さんの話 井上さんの芝居だけを一生やると決めたこともあった。悲 壮感を前面に出す新劇の伝統を守りながら、面白おかしい芝居を書く。その姿勢にほれ込んだんです。今は、やりきったという思いです。

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 作家の五木寛之さんの話 文学とエンターテインメント、小説と演劇、批評と行動、すべての点において卓越した才能を発揮し、私たち同世代の作家に大きな刺激をあたえ続けてくるとともに、平和と憲法を守る戦後民主主義の希望の星でもありました。

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 作家の宮部みゆきさんの話 直木賞で落選するたびに(選考委員の)井上さんの選評に励まされてきました。自分が委員になってからも、委員の中に井上さんがいたから安心でした。まだまだ私は子供でいたかったのに、寂しいです。

写真:単行本発行時の「吉里吉里人」の表紙

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 作家の阿刀田高さんの話 座右の銘「難しいことをやさしく、やさしいことを深く、深いことを愉快に、愉快なことをまじめに」を徹底し、その言葉通りに作品も深く、愉快でやさしく、笑っているけどまじめで、傑出した業績でした。

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 映画監督の山田洋次さんの話 何を聞いても正しく答えてくれる、図書館みたいな人だった。「こんな映画を作りたい」と僕が言うと、すぐにシェークスピアや歌舞伎など東西の古典をひいて助言をくれた。不安定な今の時代をどう考えればいいかについても的確に見ておられた。

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 井上さんらと「鎌倉・九条の会」を作った経済評論家の内橋克人さんの話 世界のありようを整合性をもってとらえ、それを息をする体温が伝わってくるような言葉を発する力を持っていました。井上さんがいるだけで心の支えになりました。

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 新国立劇場芸術監督の演出家・鵜山仁さんの話 この劇場は、井上さんが精神の柱として旗揚げした。作品からは人間の一生を超えた声が聞こえる気がする。メッセージを長く広く伝えることが我々の使命だと任じている。





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