大刀に竜の文様、大和政権と結びつき示唆 宮崎で出土
出土した竜文銀象眼大刀。鮮やかに浮かぶ竜文は10センチ足らずの長さ=宮崎県えびの市
宮崎県えびの市の島内(しまうち)地下式横穴墓群で、刀身に竜の文様を象眼(ぞうがん)した6世紀前半の鉄製大刀(たち)が出土したと、同市教委が20日、発表した。刀身に竜文がある象眼大刀は全国3例目で、大和政権との深い結びつきを示唆するという。
市教委によると、大刀は全長98.2センチ、幅3.6センチ。長さ78センチの刃の表面に溝を刻み、銀をはめ込む象眼の技法で、表に全長約9センチ、裏 に約8センチの竜がひとつずつあった。奈良県橿原(かしはら)市の新沢千塚(にいざわせんづか)327号墳(6世紀中ごろ)、奈良市の吉備塚(きびづか) 古墳(6世紀前半)に次ぐという。
同墓群ではこれまで約120基が確認されており、大刀は送電線の鉄塔建て替え工事に伴う発掘調査で114号墓から出土。遺体を安置する深さ約2 メートル、広さ2畳ほどの玄室(げんしつ)に埋葬されていた熟年男性の人骨のかたわらに置かれていた。さびてさやがこびりついていたため、昨年8月にエッ クス線調査を実施し、文様の存在が分かった。その後、文様部分のさやは除去したという。
エックス線調査で表裏に星か太陽とみられる図形も1個ずつ確認できた。
同市教委の中野和浩主任技師は「竜文は新沢千塚のものより一回り大きく、この時期のものとしてはかなり質が高い。保存状況も極めて良い。現在のえびの市一帯を治めていた有力者の一人で、大和政権から分配されたのではないか」と話している。
大刀は同市歴史民俗資料館で5月3日まで一般公開される。今月23日午前10時から資料館で市民向け説明会がある。問い合わせは市教委社会教育課(0984・35・2268)へ。(知覧哲郎)
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