2010年4月28日水曜日

asahi shohyo 書評

働きすぎに斃れて—過労死・過労自殺の語る労働史 [著]熊沢誠

[掲載]2010年4月25日

  なぜ彼らは死にいたるまで働いてしまったのだろう。トラック運転手、工場労働者、教師、名ばかり店長、非正規社員……過労死・過労自殺に追い込まれた50 人以上の事例には、日本社会の歩みが色濃く反映されている。激化する企業間競争、規制緩和の進行、成果主義の導入などで、厳しいノルマを背負い、職場で孤 立しながら、長時間働き、斃れた彼ら。そしてそのような過酷な労働が、我々の享受する便利で豊かな社会を支えている現実を思えば、彼らの悲劇は、同じ現代 社会を生きるすべての者にとって決してひとごとではないと気づかされる。

0 件のコメント: