2008年9月11日木曜日

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「川辺川ダム」白紙撤回求める熊本知事発言要旨

2008年9月11日19時12分

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 蒲島郁夫・熊本県知事が9月11日の県議会本会議で発表した、川辺川ダムについての見解は次の通り。

 1 はじめに(略)

 2 有識者会議での議論(略)

 3 私の判断

 そもそも治水とは、流域住民の生命・財産を守ることを目的としています。しかし、守るべきものはそれだけでしょうか。私たちは、「生命・財産を守る」と いうとき、財産を「個人の家や持ち物、公共の建物や設備」ととらえがちです。しかし、人吉・球磨地域に生きる人々にとっては、球磨川そのものが、かけがえ のない財産であり、守るべき「宝」なのではないかと思うに至ったのです。

 「球磨川という地域の宝を守りたい」という思いは、そこで生まれ育った者でしか理解できないような価値観かも知れません。しかし、この「ローカ ル」とも言うべき価値観は、球磨川流域に生きる人々にとって、心の中にしっかりと刻み込まれているような気がします。また、その価値を重んじることが、自 分の地域を自らが守り、発展させていこうという気概を起こさせることになります。

 川辺川ダムの最大受益地である人吉市では、田中市長が現行のダム計画の白紙撤回を求めることを表明されました。ダム建設予定地である相良村の徳田 村長も、川辺川ダム建設は現時点では容認しがたいと意見表明されております。その後、その他の流域市町村の町村長も、ダム建設についての意見が分かれてき ております。

 住民独自の価値観を尊重することによって、人や地域が輝き、真に豊かな社会が形づくられます。その時、住民の幸福量は増加したといえるのではないでしょうか。

 ここにおいて、私は、現行の川辺川ダム計画を白紙撤回し、ダムによらない治水対策を追求するべきであると判断したことを表明します。


国土交通省は、住民が提示した河床掘削による流下能力の向上や遊水地設置などの代替案については、人吉層の掘削は問題がある、貯水のために農地を利用することは社会的にも困難、と言うに止まるなど、「ダムによらない治水」の努力を極限まで行っていないと思っています。

 先日、国土交通省から、新たな手法として環境に配慮した穴あきダムの提示がありました。環境への影響や技術的な課題について詳細な説明がない現状では、その是非について判断することはできないと考えております。

 さらに、現在の県の財政状況にあっては、巨額の税金を投入することについて県民の理解を得るためには、住民の幸福量の増大が明らかであることがより一層求められます。その点からも、現行の川辺川ダム計画は認めることができないと考えます。

 4 五木村の方々へ(略)

 5 熊本の夢に向かって(略)

 6 おわりに

 ハード面の対策に加え、人命の安全確保のための、万が一の場合の警報システムおよび緊急避難システムの構築など、ソフト面の充実も早急に実現したいと思います。

 本日の私の判断は、全ての方に受け入れられるものではないかもしれません。しかし、現時点において、私は、住民の皆様方にとって最良の決断をしたものと確信しております。

 川辺川ダム問題による対立を超え、結束すべき時が参りました。熊本の夢に向かって、私とともに新たな一歩を踏み出そうではありませんか。



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