王族の顔隠す道具か 魏志倭人伝「伊都国」?跡から出土
鮮やかな赤色顔料で塗られた翳形木製品=福岡市西区の元岡遺跡群
祭りに使われたとみられる鳥形木製品=福岡市西区の元岡遺跡群
福岡市西区の元岡遺跡群で、約2千年前の弥生時代中期末(紀元前後)に作られた色鮮やかな翳(さしば)形の木製品が出土したことが13日、わかった。遺 跡群は福岡市教委が発掘調査を続けてきた。中国の史書「魏志倭人伝」にある「伊都国」の一角とされ、王族らの権力や暮らしぶりを物語る重要な資料となる。
翳は、儀式の時などに使われた、円いうちわのような道具。中心に穴が開いたドーナツ状の円形部分を柄にとりつけて、貴人に差し掛け、顔を隠すために使わ れたらしい。出土したのはその一部で、長さ22センチ、幅8センチ、厚さ1センチほどの半円形。両面に赤い顔料で、鋸歯(きょし)文という、のこぎり状の 文様が二重に描かれている。権力の象徴として、伊都国の王族ら有力者が使ったと考えられる。翳形木製品としては最古級とみられる。
ほかに鳥形の木製品2点も見つかった。鳥形木製品は穀物の霊や死者の魂を運ぶ象徴など諸説ある。 同遺跡群は伊都国内の祭祀(さいし)の場とさ れ、古代中国の貨幣や小刀の鞘(さや)尻金具、獣骨などが多数見つかっている。今回発見された木製品は、弥生中期末の土器の集積の下から出土した。
視察した春成秀爾・国立歴史民俗博物館名誉教授(考古学)は「弥生の王族や貴族の実態の片鱗(へんりん)が見えてくるようだ。伊都国の王族のイメージを考古資料に即して考えられる貴重な資料となる」と話している。(中村俊介)
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