〈本の舞台裏〉街道歩きを楽しむ本
[文]加来由子 [掲載]2013年06月09日
東海道五十三次をめぐる一風変わった本と地図が相次いで刊行された。街道歩きがブームになっているらしい。
『東海道五十三次「食」 ウォーキング』(講談社+α新書・940円)は、ベストセラー『粗食のすすめ』の著者で管理栄養士の幕内秀夫氏が、東京・日本橋から京都・三条大橋まで歩 き、1泊2食で6千円前後のビジネス旅館に泊まりながら、そこで出される食事から「地方の日常食のいま」を探ったもの。豪華な宿やグルメ旅とは一線を画し た、滋味深い内容だ。
箱根を越えて静岡に入ったらお茶がおいしくなった、愛知に入ると米みそから豆みそになり、サバのみそ煮も濃い色になっ た……など、点ではなく線の移動だからこそ実感した食の変化が楽しい。ひざと足のまめをケアしながら歩いた21日間の日記からは大変さもにじむが、疲れた 時に食べた素朴な安倍川餅のおいしさの衝撃など街道歩きのだいご味も伝わってきて、うずうずしてくる。
『ちゃんと歩ける東海道五十三次』(山と 渓谷社)という地図は街道沿いの歴史名所やコンビニ、旅館、飲食店が載っていて、読むだけでも面白い。編集者の藤井文子さんによると、以前、街道歩きで箱 根で道に迷った時、行き会った人から、東海道五十三次のわかりやすくて詳しい地図を作っている人がいることをきき、ネットで調べまくって五街道ウォーク事 務局の八木牧夫氏にたどりついたという。「八木さんから長ーい巻物風の手書きの地図を見せてもらったときの感動はいまだに忘れられません。私が探していた のはこれだと思った」と藤井さん。八木氏のもとに通いつめ、巻物を、文庫本サイズの蛇腹式の地図にして刊行を実現させた。東版と西版があり、各3150 円。
この記事に関する関連書籍
東海道五十三次「食」ウォーキング 健脚を支える健康食のヒミツ
著者:幕内秀夫/ 出版社:講談社/ 価格:¥940/ 発売時期: 2013年05月
著者:八木牧夫/ 出版社:山と溪谷社/ 価格:¥3,150/ 発売時期: 2013年04月
著者:八木牧夫/ 出版社:山と溪谷社/ 価格:¥3,150/ 発売時期: 2013年04月
著者:幕内秀夫/ 出版社:新潮社/ 価格:¥500/ 発売時期: 2003年04月
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