2013年6月12日水曜日

asahi culture cooking Dashi Konbu 出し

昆布の「味力」じわり浸透 関連本も人気

[文]足立耕作  [掲載]2013年06月08日

だしの取り方講習会で、真昆布を鍋から取り出す参加者=大阪市中央区谷町7丁目 拡大画像を見る
だしの取り方講習会で、真昆布を鍋から取り出す参加者=大阪市中央区谷町7丁目

だしを紹介する本とともに、利尻昆布などが店頭に並べられた=東京都渋谷区猿楽町の代官山蔦屋書店 拡大画像を見る
だしを紹介する本とともに、利尻昆布などが店頭に並べられた=東京都渋谷区猿楽町の代官山蔦屋書店

表紙画像 著者:後藤加寿子  出版社:文化出版局 価格:¥ 1,680

 昆布だし教室に主婦らが集まり、だしの取り方を指南する本も相次いで出版されています。最近はフランスのシェフからも熱い視線が注がれているとか。この機会に、昆布をもう一度見直してみませんか。

 「簡単でしょう。手間は無いに等しいですよね」
 北海道産天然物を扱う老舗「こんぶ土居」(大阪市中央区)の土居純一社長(39)が参加者に語りかけた。真昆布を水に一晩つけた鍋を沸かし、かつお節を入れるだけ。味を見た女性らは「おいしい」とうなずいた。
 5月中旬、店内で開かれただしの取り方講習会。長女と参加した近くの田中賀代さん(64)は、ずっと粉末のだしを使ってきたという。「病気で体を悪くしたこともあり、食生活を見直したい。娘にも学んでほしい」
 同社は7年前から月1回、講習会を開いてきた。店先にチラシを張り出すだけで、インターネットサイトなどで告知はしていない。始めたころは6人の定員がすぐには埋まらなかったが、今では口コミで広がったのか、受け付け開始の日に予約が埋まる。
 もう約400人が受講した。土居社長は「だしを利かせれば調味料に頼り過ぎることなく、素材の旨(うま)みを生かせる」と話す。
  昆布の小売りや卸売りなどでつくる日本昆布協会(大阪市)は昨年夏、女性500人に「昆布でだしを取った年間回数」をアンケートした。「今まで一度もな い」が1割を占め、計6割弱が年10回に満たなかった。月に4〜16回は約2割だった。敬遠の理由を複数回答で尋ねると、「めんどう」が最も多い約3分の 2。「顆粒(かりゅう)だしを使う」も52%に上った。
 一方、一昨年末の別の調査では8割が「ふだんの食生活に取り入れたい」と回答。そのため に知りたいこととして、だしの取り方やだしを取った後の利用法などの「レシピ」を挙げる人が多かった。協会の小笠原朋之専務理事は「日常的にだしを取る人 は多いとは言えないが、関心は高い」とみる。
 今年4月、東京・渋谷の代官山蔦屋(つたや)書店の店頭に、「おいしいね。まずはおだしで。」(文化出版局)と、利尻産の昆布などが並んだ。出版記念に合わせた試み。昆布水などの試飲会もあった。
 文化出版局書籍編集部の浅井香織さんは「親から引き継がれず、だしの取り方を知らない若い世代が増えている。だし文化を見直してもらうことにつながれば」と、出版のねらいを話す。
  「かけこみおだし塾」や「奇跡の昆布革命」など、最近はだしや昆布をテーマにした本の出版が相次ぐ。同店にも10冊以上並べられ、売れ行きは好調という。 料理本コーナーの責任者、勝屋なつみさんは「残留農薬や産地偽装などの問題があり、食への不安が広がっている。食の基本にかえろうという消費者は増えつつ あるのでは」と話す。

この記事に関する関連書籍

おいしいね。まずはおだしで。 昆布、かつお節、煮干し、素材、乾物でだしをとる。

著者:後藤加寿子/ 出版社:文化出版局/ 価格:¥1,680/ 発売時期: 2013年04月

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ほんとうは簡単! かけこみおだし塾

著者:山脇りこ/ 出版社:講談社/ 価格:¥1,365/ 発売時期: 2012年09月

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奇跡の昆布革命 健康と美容によい。おいしくてかんたん。

著者:喜多條清光/ 出版社:大和書房/ 価格:¥1,260/ 発売時期: 2012年11月

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やさしいおだしの教室

著者:森かおる/ 出版社:光村推古書院/ 価格:¥1,680/ 発売時期: 2013年01月

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からだが喜ぶ和だしのスープ 水出し昆布+鰹節・小魚の「簡単習慣」

著者:中村新/ 出版社:世界文化社/ 価格:¥1,365/ 発売時期: 2013年04月

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