2011年12月21日水曜日

asahi shohyo 書評

書評

革新幻想の戦後史 [著]竹内洋

[掲載]2011年12月18日   [ジャンル]歴史 

表紙画像 著者:竹内洋  出版社:中央公論新社 価格:¥ 2,940

 1970年代までのキャンパスは、「左翼でなければインテリにあらず」という革新幻想が支配していた。そんな空気に違和感を抱いてきた42年生まれの著者が自分史とともに過去を見つめ直す。
  敗戦感情には「過ちを繰り返さない」「悔恨共同体」だけでなく、「こんどこそはうまくやろう」という「無念共同体」もあったはずなのに隠されてしまったと 指摘する。55年の「六全協」による共産党神話の崩壊により、政党と無関係な「市民派サヨク」の居場所ができたという。
 東大教育学部における「進歩的教育学者」と教育社会学者の対立、小田実の変遷など、紹介される事例は興味深い。
    ◇
 中央公論新社・2940円

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