- 2011年12月17日23時5分
江戸を語る人骨1万体 小柄な体・栄養失調・伝染病
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東京都内の開発で掘り出された人骨を、国立科学博物館(科博)が大量に保管している。ざっと1万人分。江戸時代の骨がほとんどで、今よりも小柄で栄養状態も悪かった。時代劇のイメージとは違う江戸の人々の厳しい暮らしぶりが、浮かび上がってくる。
「この頭の骨は左の側面に鋭い刃物の傷が2本。日本刀で斬り殺されたのでしょうね」「青黒いシミがついたこちらの骨は、梅毒の痕跡ですよ」
新宿区百人町の科博新宿分館。人骨がびっしり並ぶ人類研究部の収蔵庫で、人類史研究グループ長の篠田謙一さんが説明する。
研究用に科博は20年ほど前から、開発業者などが持ち込む江戸時代の人骨を受け入れてきた。分館は来春までに茨城県つくば市に移転する予定で、荷造りを前に人骨の分類やクリーニングが続く。
骨は江戸の人々の暮らしぶりを伝えている。栄養状態が悪く、特に鉄分が不足していた。現代なら死亡率の低い若い世代の骨が多いのも特徴で、伝染病がたびたび流行し、人が簡単に死んだことを物語るという。
江戸時代の成人の平均身長は男性が150センチ台半ばで、女性はそれよりも10センチほど低い。日本のすべての時代の中で最も小柄だった。栄養状態が悪 いうえに狭い長屋などに密集して生活したストレスの影響と考えられるという。「生活は厳しかった。スラムといった方がいい江戸の影の部分が骨には記録され ています」と篠田さん。
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